いったいどこで差がついたのか。

足立くんの上履きは、ピカピカというエフェクトがつきそうなぐらいほぼ新品の鮮度を保っていたのだ。
私や佐伯くんの上履きに比べて輝きが違う。渡部さんもそこそこきれいに保っているが、輝きを放つほどではない。

「・・・入学から四ヶ月でここまで差がつきますか」
「浅野や佐伯はちょろちょろ動くからな。埃を立ててるんだろ」

私が戦慄しながらその点を指摘すると、足立くんは冷静に言ってのけた。

「俺はそんな汚い靴でうろうろしたくないからな。週一回もって帰って洗ってるし、細かい汚れは拭うようにしているから」

足立くんの学生鞄から、未来のロボットが秘密道具を出すようにさっとウエットティッシュが出てきたので、私はまた戦慄する。一介の女子にも勝る女子力だ。

「うーわ、すっげー。俺まだ一回も洗ってないんだけど」
「だ、だよね。洗うのは長期休暇の時だよねー!」
「・・・・」

佐伯くんの同意はオアシスのように心を癒してくれるが、はっと足立くんの方を見ると、修羅のように冷酷な顔をしていた。
縮み上がるという表現が最も正しいだろう。
私は一刻も早く上履きをごしごしと洗ってしまいたい衝動に駆られた。

「あれ・・・?弓弦じゃーん」
「えっ、やばい超久しぶり!」

その時、ふと聞き覚えのある声がして、私は反射的に固まった。
高校に入ってからは奇跡的に耳に入らなかった声だったが、覚えていないはずがない。
彼女らは、私と同じ中学校の出身なのだから。