晴れてクラス委員長に就任した渡部由美さんにも触れておこう。
私が目をつけた理由は、その外見と挙動である。

艶やかな胸までの長さの黒髪。
清楚そう。
委員長っぽい。

細いフレームの眼鏡を着用。
真面目そう。
委員長っぽい。

委員長を募る場で、他の人に視線を向けるのをためらいがちな様子。
気が弱そう。
すっごく、押し付けやすそう!

申し訳ない感じはするけど、彼女自身も別に人がいないなら私がやってもいいかな的な意気込みはあったらしいし。
万事、上手くいったのだ、私のおかげで!と胸を張りたい。
なんで私自身が立候補しなかったのかというと、面倒くさそうだし責任を負いたくないという理由に尽きる。
反感買うかな。でも、これってみんな思ってる事だと思うよ。
何か言っただけ、私マシでしょ!

開き直りもこの辺にしておこう。
委員決めはまだ終わっていないのだった。

「じゃ、副委員長俺がやろっかな!」

委員長が決まるなり、明るい声が響いた。
休み時間にひときわやかましかった男だ。渡部さんの時よりも大きな拍手に迎えられる。
なんでさっさと委員長に立候補しないんだよ。
まあ、多分目立ちたいけど責任は負いたくないとかそういうタイプなんだろうけど。

「じゃあ、ここからは新しい委員長と副委員長に任せようかな。渡部さん、佐伯くん、前へ出てください」
「は、はい」
「はーい!」