「割と僻まれるんですよ、私。ほら、顔が良いですから」
「あー、なるほどね」
「口開いたらアレだけど、顔いいしね、足立くん。やっぱモテるんだ」

渡部さんの言葉に、私と佐伯くんは頷いた。
なんか納得。渡部さんみたいな大人しい子って、ちょっとしたことでも僻まれやすい気がする。
足立くん、なんだかんだ渡部さんには特別扱いしてるしね。
気になってる子からしたら面白くないかも。うんうん。

「いや、実里くんを好きになる人なんていません」
「・・・え?」
「だって、この性格ですよ?告白とかされてないですし」
「そうなの、足立?」
「告白はないな。よく見られはするけど。この顔だし」
「はは、うっぜー」

うーん、実際問題女の子達が気にするのって、ノリの良さなのかな。あと優しさ。
確かに見てる分には良いけど絶対付き合いたくないよね。
またも納得したのが表情に出たのか、足立くんがギロリとこちらを睨んだ。
自分で言うのはいいが、人に言われるのは腹が立つタイプらしい。
まあ、私まだ言ってないんだけど。

「あっ、もうすぐで昼終わるね。じゃっ!」
「ああ、じゃねー」

時計を見た佐伯くんが自分の席に戻っていく。
思い出したように渡部さんがそれに続き、足立くんと私が残った。
人が減るなり、話題が消え失せる。
沈黙が続く前に次の授業の用意をしてしまおう。

「んー、じゃ、また話してね足立くん」
「・・・ま、由美とは仲良くやってやれ」
「・・・う、うん」

晴れて女子高生となった私だが。
なんだか妙な男と関わるようになってしまったようだ。
それもこれも私のあの偉大なる英雄的判断のせい、なのだろうか。