その後、私たちはお近づきの儀式に、それぞれの連絡先を交換した。
見ると、佐伯くんの携帯にはもうクラスの半数以上の連絡先が登録されているらしい。猛者である。

足立くんが連絡先の交換に応じたのはなんだか意外だったが、あれだけきついことを言っていても「去ね」とかその類のことは言わなかった。
案外来るもの拒まずな人なのかも。

「浅野さんはいるの?同じ中学の人」
「え?ああ、いるけど気合わない子なんだよね。足立くんと渡部さんみたいな関係だったら心強かったんだけど」
「え?私・・・実里くんと気合わないですよ?」
「合わないな」
「そこまで付き合えてるなら気は合ってるってことでいいと思うよ、俺」

同じ中学の人、あと五人くらいいる。
その内三人は話した事もない人。あとの二人は気が合わないというか、正直嫌いな子だった。
何かと人をバカにしたがるのだ。
少しのミスでもあげつらって文句を言ってくるし。
成績は私の方が良いと思ってたけど、彼女らは短期間に頭の中に詰め込むのに才があるらしい。
まさか同じ高校に来るとはって感じ。

「なんか浅野さん、憂鬱そうだね」
「いや、そんなことはないけど。同じクラスでなくてよかったなと思いました」
「しみじみと言うな」
「そんなに嫌いだったんですか・・・?」
「まあそうだけど。いいや、もう関係ないし。高校生になったら大人しくなってるかもしれないしね」

空気を悪くしてはならない。私は、愚痴りたくなるのをこらえて笑顔を作った。

「あはは、そうそう!高校生になってみたら案外気が合ったりしてね!」
「そうですよ、今度会ったら紹介してくださいね」
「状況によるけどね」
「あ、でも女の方なら実里くんは紹介しない方がいいかもしれません・・」
「ん?」
「7割5分、拗れますから」

断言した渡部さんに、私と佐伯くんは少し固まったのだった。