乙女がまくし立てる。

「二人がかりだと!?馬鹿を言うな紅!騎士の戦いは一騎打ちが基本だ!たった一人の相手に二人で戦いを挑むなど騎士道に反する!そのような真似をするくらいなら死んだ方がマシだ!」

そう言う乙女の頭を。

「痛い!」

俺は槍の柄で小突いた。

「いたたたた…」

頭を押さえてうずくまる乙女。

「な、何をする…」

「軽々しく死んだ方がマシなどと言った罰だ」

俺は胸の傷を押さえながら言った。

「ここにいる女神兵は、お前の言う『生きようとする意志は何より強い』という言葉に賛同してお前の下に集ったのだ。そのお前がたやすく『死んだ方がマシ』とは何事だ。反省しろ」

「……」

むー、と口を尖らせる乙女。

「それに」

俺は続ける。

「女神国の象徴たるお前が目の前でやられるのを指を咥えて見ているくらいなら、二人がかりで戦いを挑んで卑怯者呼ばわりされる方がマシだ。俺は喜んで汚名をかぶる」

俺のその言葉に、死神が笑った。

「それ見た事か!結局貴様らも一皮剥けば私達と同じなのだ。騎士道だ何だと綺麗事を並べたところで、生き延びる為ならば手段は選ばぬ。私とお前達は同じ穴のムジナという訳だ」