ビュン、と。

風を引き裂くような音が聞こえた。

その音に逸早く反応し、死神が私から離れる。

次の瞬間。

「!!」

私の目の前を、魔槍が飛んでいった。

あのまま鍔迫り合いを続けていれば、死神は魔槍に串刺しにされていただろう。

「…綺麗事を語ったつもりなどないな…」

魔槍を投げた張本人…紅が言う。

「紅!!」

私は叫んだ。

「馬鹿!寝ていろ!その傷では無理だ!」

「…お前こそ。その女には一人では勝てぬ」

紅は槍を拾い上げ、私の傍らに立った。

「いささか不本意ではあるが、二人がかりだ」