砦門に向かった私と紅を待っていたのは。

「何という事を…」

門に大きく綴られた血文字だった。

「…漆黒の仕業だな」

紅が神妙な表情で言う。

…門には、確かに人の血液らしきものでこう書かれていた。








我が身に傷をつけた行為、万死に値する。この傷の痛みは、女神国の民と兵士全ての命で償ってもらう。黒の旅団に刃を向けた愚行、悔いるがいい。






奴ら流の宣戦布告という訳だ。

魔槍を使った国崩しに失敗し、今度は本格的に女神国に侵攻するつもりなのだろう。

「面倒な相手だな」

紅が呟いた。

「数は二千程度だが、一人一人が敵を効率的に葬り去る術に長けた者達だ。ただの騎士を相手にするつもりで戦いを挑めば痛手をこうむるぞ」

「わかっている…」

だがどんな相手であろうと、女神国の民衆にまで刃を向けるとまで言われた以上は背を向ける訳にはいかない。

戦乙女の軍に挑んでくるのであれば、正面から受けて立つまでだ…!!