…どうやら図星だったらしい。

「そこまで知っているならば隠す意味もないか」

男は初めて口を開いた。

「その魔槍も我ら黒の旅団の戦術のひとつよ…呪われた魔槍という触れ込みで狙った国に送りつける…そして一人、また一人と兵を葬る…その国は脅え始める。呪いによって兵は死んでいったのではないかとな。混乱が混乱を呼び、その国は内から崩れ始める。足場の脆くなった国など、僅か二千程度の我らでも十分に滅ぼせる」

それが、この魔槍の呪いの正体か。

「ならば、三つの国を滅ぼしたというのも」

「そう、呪いではなく我らの所業よ」

乙女の問いかけに対し、男は下卑た笑いで答えた。

…フン、やはり呪いなどこの世には存在しなかったという訳か。

「さてと…種明かしが済んだところで」

男は右手を振り上げる。

「種はあの世まで持っていってもらおうか!!」

鋼線が俺達めがけて放たれた!!

暗闇の中、ただでさえ視認しにくい鋼線。

それを、月明かりの反射だけを頼りに俺と乙女はかわす。

「乙女、下がっていろ」

俺は槍を構えた。

「首の傷もある。お前は休んでいろ。奴は」

ビュン、と槍を振る。

「俺が仕留める」