周囲に注意を向けながら歩を進める。

少し暗闇にも目が慣れてきたのか、街の様子が見渡せるようになって来た。

とはいえ、やはり昼間ほど視界が鮮明な訳ではない。

もしここで襲撃でも受ければ、いつもよりは反応が遅れるだろう。

…それが致命的な欠陥にならなければいいのだが。

…また風が吹いた。

はっきりと耳に聞こえるほどの、強い風の音。

その音に混じって。





ヒュッ、と。

明らかに風とは違う、空気を斬るような音が聞こえた。





その異変に気づき、振り向いた瞬間。

「かっ…!?」

私の首に、何かが巻きついた!

細い、糸状の何か。

それは近くの建物の屋根の上から伸びてきている。

「…!…!!…」

目を凝らして、その屋根の上の何かを確認しようとするものの。

「うぐぅっ…!」

巻きついた何かは、強い力で私の首を締め上げる。

…肌に食い込み、傷つけられて血が流れる。

これは…私を絞殺しようなどという生易しいものではない。

このまま締め上げ、私の首を切断するつもりだ…!