「くっ!貴様、邪魔をするな!」
声を荒げた化け物の爪がミナトの横っ腹に突き刺さり、ミナトが吹き飛ばされる。
「うっ」
「ミナト!!!」
血を流したミナトが苦しそうに悶える。
私を助けたばっかりに…。
「いやぁ!ミナトォ!!!!」
どうしてこんなことに。
私が、無理言って外に出たいって言ったから。
ミナトはダメだって言ったのに。
待っていればいつかは連れて行ってくれるって言ってたのに、私がわがまま言ったから…。
あそこで待ってろって、離れるなって言われたのに、私があんな男の言葉をうのみにして離れたから…。
私が…私が……。
「二人そろってあの世へ行け!」
泣き叫ぶ私には化け物の声も届かない。
化け物が再び爪を振りかざしてきていることも、もう私の目には入らない。
「うっ…なん…だ…と…」
突然、化け物が唸り声をあげると、バタンとその場に倒れ動かなくなった。
なにが起こったのかわからず、泣きじゃくったまま顔を上げると、そこには剣を片手に立つレンの姿。
「れ…ん…」
レンの姿を見た私は、安心したのかそのまま意識を失った。
倒れる前に、私の体を支えたのは、他の誰でもないレンだった。
「バカが」
悔しそうにそう呟いたレンの言葉は、私には届かなかった。


