ビチビチビチッと異様な音が背後で聞こえる。
恐怖に体が震える。
―自分の身は自分で守る
そんなこと言った私は、全く身動きが取れなくなってしまっていた。
今まで体験したことのない恐怖が、襲う。
「さあ、こっちに来い!」
何かに肩を掴まれた。
それは、人間の手とは思えない大きく硬い手。
無理やりに振り向かされた私の肩に鋭い痛みが走る。
爪のようなもので振り向きざまに引き裂かれたのか、痛みと共に血の流れる感覚。
そして、その先に見たのは…。
「ひっ」
化け物――――――…。
ギョロッとした目に、人間と違う輪郭、身体に、背中には羽のようなものが生えている。
先ほど私の肩を掴んだであろう、大きな手の先には鋭い爪が尖っている。
たすけて………
「いや…」
なんなの、これは。
怖い、
助けて、
誰か…!


