「俺は、お前と国を作っていけることを嬉しく思うぞ」
「…ずりぃよ。レンにそう言われたら、断れねぇよ」
「別に、命令ではない。本当に無理だというのなら…」
「いや…。やらせてくれ。俺なんかじゃ力不足かもしれないけど…。あの時、俺に力がなくて守れなかったもの…。これからは、ちゃんと守りたい」
レンは、わかっていたんじゃないだろうか。
守れなかった自分をずっと責め続けているリュウに。
だからこそ、その後悔と向き合う機会を与えるために。
そして、きっとリュウはムーン王国に戻りたかったはず。
カノンさんがいるあの村に。
「ありがとう。レン。お前には、頭が下がりっぱなしだ」
「仲間、だからな」
「ああ。お前は、最高の仲間だ」
そうして、私たちに見送られながらリュウは、逞しい背中を見せムーン王国に旅立っていった。
しばらくして、何とか四苦八苦しながらも王の任務をこなしていると連絡が入り、私とレンは顔を見合わせ安心した。
その手紙の最後には、いつかカノンさんを王妃として迎えたいと書かれてあった。
「きっと、カノンさん喜ぶね」
「ああ」
皆が幸せであればいい。
悲しみがあっても、その先にあるのは幸せ。
きっとこれから先も、いろんなことがあるだろう。
泣ける日も、怒れる日も、笑える日も、楽しい日も。
その一つ一つを大切に。
生きていけばいい。


