「私は、賛成だよ。レンが、勧める人材なら間違いはないよ」




エリシア王国のセリム王だった。




そうして決まった、リュウの王位継承。
それを聞いていた前王の悔しそうな表情はとても爽快だったとレンは笑っていた。
それを聞いて私もつい、ざまぁみろって思ったけどね。




でも、レンが意地悪なのは、すべてが決まった後でリュウに報告したこと。
リュウの意思も気持ちも聞かずに決めてきて。




「リュウ。お前、ムーン王国の王に決まった」





そう突然言い放ったの。
私もその場にいたけれど、その時のリュウの顔ったら…。




「はああああ!?いやいや、意味わかんねぇ!は?王?俺?はぁ!?」





初めて見るくらいにテンパり動揺し、混乱していた。
それもそうだ。




「もう決まったことだ」

「ちょっと待て、いや、ダメだろ。俺は、身寄りもなければ、そんないい生まれでもない。王位とか継承できるような人間じゃねぇよ」

「俺は、お前にこそふさわしいと思っている」

「ちょっと待てよ…」

「でないと、こんな大それたことできん」





それはそうだ。
と隣で私も頷いた。







「俺は…この国には必要ないってか?」

「バカを言うな。お前みたいな人材を失うのは惜しい。だが、お前を必要としている国があるんだ。別に、この国を出たからといって敵ではないんだ」