「王子が帰ってきた?」




そう聞かされたのは次の日の朝。
起こしに来てくれたメイドが教えてくれたのだ。




「そして、正式に王位を継承されることになったようです」

「え!?王様、王やめちゃうの?」

「やめられるというか…まぁ、そうですね。もともとお決めになっていたようですよ」

「え?」

「王子がお戻りになった時、王位をお譲りになると」





王子は確か修行に出ていると言っていた。
王位を継ぐための修行…。

でも、王子に会えるんだ。
どんな人なんだろう。




「気になられますか?」

「へ?いや…」

「お帰りのお祝いのパーティが今宵開かれるそうですよ」

「パーティ…?」

「はい。ですから、その時にお会いできるはずです」




今夜…。





「楽しみでございますね」

「えっ⁉︎いや、私は別に…」




ニコニコと意味深に笑うメイドに慌てる。
メイドも知ってるんだ。
私が王子と婚約することになるかもと。

でも、そうだよね…。
姫として扱ってるんだもん。




「今日は精一杯のおしゃれをいたしましょう!」

「そんな、別にいいわよ…」




メイドが異様に張り切っている。