「それって…、その選択肢以外は…ないんですか?」
「以外とは?」
「その、王子との結婚は…せずに、…っていうのは」
「そうなると、この城には置いておけんのだよ。そういう決まりなのだ。それに、これまでの救いの姫も、そのような扱いをしてきたためしがない」
そ、そんな……。
王子と結婚だなんて。
王子なんて会ったこともなければ、どんな人かも知らないのに。
それに…。
ちらりと、私と一緒に話を聞いていたレンを盗み見る。
せっかくレンと両思いになれた。
レンは、いいの?
私がいずれ王子と結婚することは、レンだって知ってたはず。
どうするつもりだったんだろう…。
「少し、考えさせてください…」
「ああ。いい答えを、期待しているよ」
そのままうわの空で王の元から自分の部屋に戻ってきた私。
どうしたらいいんだろう。
この世界にいることを選ぶとして、ここにいたければ王子と結婚して救いの姫としての人生を送るしかない。
でも、そうなると、レンへの思いを断ち切らないといけなくなる。
それは、嫌だ…。
でも、この城を出て、城下で生きる覚悟は私にはない。
だったら、元の世界に戻る?
でも、それはレンと離れる事に変わりはない。
「どうしたらいいの…」


