私だって、あの時ロイドと二人になって話をしていなければ、ロイドの事を誤解したままだったんだ。
ああやって連れ去られて、魔王にひどい目に遭わされて、それを助けてもらってなければ…。


でも、それでこそ、わかったことだってあるんだ。





「もしそうだとしても、それをチャンスに捕えるか、逆にとらえるか、だよね」





もしかしたら、話せば通じる相手なのかもしれない。
そう思った私の考えは、当たってた。
ロイドは、話せばそれを受け入れてくれようとしてる。
人間は許せなくても、何がいいかを一緒に考えようとしてくれる。
そんな人が、完全なる悪だと思えない。

悪魔がみんなそうだとは言わない。
理性なく人を襲う者も確かにいるだろう。






「こうして、人間である私たちと悪魔であるロイドが交流できてる。それは、大きなチャンスだって私は思うから」

「チャンス、か…」

「私は、ロイドに生きていてほしい。そう思えたのは、ちゃんとロイドと話ができたからだよ」





会話って、本当に大切だと思う。
相手の事を知りたいと思うことだから。
そして一方的では成り立たない。
それが、会話。





「すべて終わったら、ロイドとちゃんと話がしたい。人間への恨みも、憎しみも、全部聞かせてほしい」

「…人間への憎しみは、消えない」

「うん。それでもいいよ。それが、ロイドの気持ちだから。私は、それが知りたい」





だから、教えて。
ロイドの瞳が揺れる。
なにを思うのだろう。
なにか、伝えられただろうか。

全て、終わらせよう。
こんな世界、さっさと終わらせてしまおう。