私とロイドのにらみ合い。
でも、負けてたまるか。




「悔しかったら、けた外れた治癒能力で早く回復してみなさいよ!」

「なに?」

「それに…、そんな体で行って、結局あんたがやられちゃったら…。エリサちゃんの努力が無駄になっちゃうのよ!」





ロイドのために、ロイドを助けたくて魔王のもとに残った。
その思いを踏みにじるつもり!?
そうつづけて叫ぶと、ロイドは押し黙った。





「エリサちゃんは、それくらいあんたの事守りたいのよ」

「…くそっ」





悔しさを押しつぶすように拳をベッドに叩きつける。
ロイドだってわかってるはずだ。
今の状態で戻っても、なんの戦力にもならないこと。
自分が無力だと感じる時、虚無感に苛まれる。





「…俺は、間違ってたんだろうか」

「え…?」

「お前が言うように…分かり合える日が来るんだろうか」

「…来る。絶対に。私思ったよ。ロイドとレンを見てて、言い合いにはなっていたけど、それってちゃんと相手の存在を認めてるってことだから」

「認めてる…か…」

「言い合いでも、ケンカでもいい。いつかみたいな殺し合いじゃなくて、口で言い合えるようになってるのは、前進だと思う」





互いの鬱憤をさらけ出してしまえばいい。
憎しみも、悲しみも、全部ぶつけてしまえばいい。

きっとその先に、光はあるから。






「…お前がいるからだろうな」

「また、そういうこと言う」

「事実だ。俺とあいつらだけなら、そうはならない」

「そんなことないよ」

「いや…。お前がいなければ、今の状態の俺をあいつらが見過ごすわけないんだ。討伐には恰好の時だからな」






そんな悲しいことを。
でも、否定しきれない自分もいる。