「人間は…嫌いだ…」

「知ってる…でも……」

「…あんただけは違う」

「え…」

「他の奴とは…違う気がした…」





腕のしたから覗く瞳が私を捕らえた。




「お前は…変なやつだ…」

「…それって褒めてるの?」

「はは…どうかな…」




ロイドは力なく笑う。
どこか、ロイドも戸惑っているような気がした。




「人間なんて…嫌いだ…」



それはまるで自分に言い聞かせるように。
嫌いでいた方が楽なのかもしれない。
自分がしてきたことが正当化したいから。
私たち人間だってそうだ。


誰かのせいにしていたほうが楽だもの。
悪魔を悪者にしておけば、討伐することに罪悪感を感じなくて済む。




「エリサは、どこだ?」

「…っ、エリサちゃんは…」

「…なにがあった」

「城に残ったらしいの…魔王の気を引くために…」

「なに?」



ロイドが勢いよく起き上がる。
しかし、激痛が走ったようで顔をしかめた。




「無理しないで、まだ体の傷残って…」

「煩い、城に戻る」

「無茶よ!そんな体で…!また捕らえられて終わりよ!」


ベッドから起き上がり行こうとするロイドを引き止める。




「妹を見殺しにできるか!」

「わかってる!でも、体を治してからじゃないと!」

「そんな暇はない。それに、もう平気だ」

「何が平気なの⁉︎」



私は思いっきりロイドの体をベッドに突き飛ばした。




「私に簡単に突き飛ばされるくせに!」

「なに…?」

「今のロイドなんて、私でも簡単に倒せるわ!」