気を取り直して私たちは洞窟を出て城を目指す。





「お前と一緒にいれば城は見つかるんだな」

「当たり前だろ。現に、兄ちゃんと一緒にいたこの女も入れたんだから」

「…あの、私紗南っていうんだけど」





こんな小さな子供にこの女扱いされるのは、なんだか悲しい。
エリサちゃんは私をちらりと見ると、なにも言わず顔をそむけた。





「見た目は子どもだが、俺たちよりずっと長く生きてるぞ、あいつ」

「…え!?」

「人間と悪魔、寿命も成長の速度も違うに決まってるだろう」





レンがこそっと告げる事実に目を丸くする。
見た目は小学生くらいなエリサちゃんだけど、実際は私なんかよりずっと長く生きてる…。
でも、それもそうか。
それが人間と悪魔の違いなのかもしれない。





「ねぇ、エリサちゃんはロイドを助けた後どうするの?それこそ、あなたも危険なんじゃ…」

「あたしは、兄ちゃんさえ助けられたらあとはどうでもいい。あんたたちが魔王さまをどうしようがどうだって。それであたしがどうなっても」






それは、覚悟というものなのだろうか。
人間である私たちに助けを求めることを決めた時点で、きっと大きな覚悟をしていたんだろう。
人間を助けたロイドが今うけている仕打ち。
それを想えば、人間に助けを求めたエリサちゃんだって…。





「あたしは、どうだっていいんだ。別に城でなくても生きていける。魔王さまに認められて地位を確保したいとも思わない。魔王の娘、姫として生きる気もない」

「それじゃあ、どうするの?」

「さあ。…兄ちゃんは怒るだろうな」






それを、許してはくれないだろうと笑った。