私は、泣きながら説明した。
崖から落ちてからの事。

途中で他の悪魔に襲われたこと。
ロイドがケガをしていたから手当をして一夜を過ごしたこと。
ロイドは城ではなく、私にはそんなこと告げなかったけどレンたちのもとに私を送り届けようとしてくれていたこと。
でも、その途中に他の悪魔にロイドと一緒に連れ去られたこと。



そこで会った、魔王の事。




残酷な悪魔の仕打ち、同じ悪魔を仲間と思っていない僕だと言いきっていた。
そして、私を利用しようとしたこと。






「それを、ロイドが止めてくれたの…。私を助けて、私だけ逃がしてくれた…」

「あいつが…?」

「あの魔王に裏切りが許されるわけない!もしかしたら、殺されちゃうかも…」

「紗南さん。でも、結果的にそうなっていたとしても、ロイド自身もあなたの事を利用しようとしていたんですよ?」






わかってる。
だからこそ、ロイドは何度も襲ってきたんだ。
魔王である父親に認めてもらいたくて。





「それでも、見殺しになんてできない」

「紗南…」

「私一人でも、助けに行く」





なにができるかわからないけど。
やらないよりはましだ。






「…もし救い出したとして、その結果、お前自身も裏切られる可能性だってあるんだぞ」

「レン…」

「相手は悪魔だ。敵なんだ。敵に情けをかけるってことは、裏切られることもあるんだ」

「…それは、人間相手だってそうだわ。人間だから味方とか、悪魔だから敵とか、…そんな偏った見方したくない」






人間にだって悪はいる。
自分の国民を見捨てるような王様だって。

だったら、悪魔にだって善はある。