「…紗南か」

「え?」

「覚えておこう」





ぶっきらぼうに言うと、振り向きもせず進んでいく。
なんだか、少しは歩み寄ろうとしてくれているのか。





そんなことが少しだけ嬉しくなった。







そんな時、突然あたりの空気が変わる。
突風が吹いて体に何かがまきつく感覚。





「えっ」

「な!?」





まきついたそれに引っ張られるようにして宙に浮く。
戸惑ってロイドを見るとロイドの身体にも巻きついている太い縄のようなもの。
すごい勢いで地面が離れていく。

下を見るとくらくらとめまいがする。






「なにっ!?放してっ!」






私たちを連れて行こうとする縄の先を見ると、黒い羽。
悪魔……?






でも、どうしてロイドまで…?






私たち、いったいどこに連れて行かれるの!?