「ねぇ、私城の外に行ってみたいんだけど」
「ダメだ」
って、即答?
「なんで!?」
「どうしてもだ。俺たちも今は忙しい。お前の護衛をしている余裕はない」
「護衛なんてしていらないわよ!一人で見て回れるし、別に方向音痴でもないからちゃんと戻ってこれるし」
それに、こんな大きなお城を見失うことはないと思う。
護衛なんて、そんな不慣れなものがいたほうが落ち着かない。
「お前が知らない危険がここにはあるんだ。勝手な行動は許さん」
「私は自由に出かけることもできないの?」
「それがお前のためだ」
「なにそれ、わかんない!」
「わからんでもいい」
「いじわる!最低!」
「なんとでも言え」
強情な奴。
ずっとこんな部屋の中にいたら気が滅入っちゃう。
ほんと、嫌な奴!
「一番隊の任務は、姫の護衛も含まれている。昼食後、顔見せによこすからそのつもりでいろ」
「・・・ふん!」
「勝手に拗ねてろ」
そう言うとバタンと音を立てて出ていった。
感じ悪い人。
もっと優しくて、紳士で強そうな、王子様みたいな騎士をイメージしてたのに。
現実ってやっぱり違うのね。


