「…い、…おい!」





いつの間にか眠っていたらしい私は身体を揺すられ目を覚ます。
もう、気持ちよく眠っていたのに。





「なによぉ」

「寝ぼけてんじゃねぇよ、あほか」

「あほって…、あ、あんた…!」





つくづく嫌な言い方をする相手を見て体を起こす。
目の前のロイドは身体を起こし私を覗き込んでいた。
よかった、無事みたい。




「ちょっと、寝ときなさいよ。あんた、怪我人なのよ」

「軟な人間と一緒にするな。これくらいのケガ、すぐに治る」

「なによ、痛そうだったくせに」

「は?」

「今にももうダメーって泣き出しそうだったくせに!」






いーっと歯をむき出しにして見せるとロイドの目が座る。





「お前、俺を怒らせたらどうなるかわかってるだろうな」

「なによ。やる気!?」

「……」





でも、そのままロイドは体の向きを変え顔をそむける。
本気でやりあうくらいの気持ちだった私は面食らう。





「ちょっと」

「お前は、俺が怖くないのか」

「え?どういうこと?」

「俺は悪魔だ。人間を襲う悪魔なんだぞ」






なにを気にしているんだろう。
ユラユラとランプの明かりが揺らめく。
外はまだ暗闇に包まれている。