「俺が死ねばお前たちは狙われることないんだぞ」
「だから、わかってるって。それに、こんな怪我じゃあなた死なないでしょ」
だったら、手当てしようがしまいが一緒だもの。
「目の前で怪我してる人がいるのに放っておけるほど私冷血じゃないから」
「お前、バカだろ。冷血とかそう言う問題じゃねぇだろ。敵に情けをかけるなんて論外だ」
「知らないわよ。あんたたちの常識なんて。私は私が思うようにするの!」
私だって、どうしてこんな奴手当してるのかわからない。
こいつのせいでレンはひどい目にあったし。
こいつは、悪魔なんだから。
でも、羽がなければ見た目は人間とさほど変わらない。
そんなロイドを見捨てられなかった。
他の悪魔だったら見捨てるのか、そう聞かれたら戸惑うけれど。
たくさんの悪魔と戦ってきた。
きっと私も悪魔にとっては憎き相手だろう。
敵に情けをかけるって言ったけど。
きっとロイドは、その敵に情けをかけられたことが腹が立つんだ。
悪魔側は私の事を浚いたがってる。
だからむやみに命を奪うことができない。
思った通り、ロイドは私に手は出してこない。
「…お前が姫じゃなければ、すぐに殺していたのに」
「あなたたちは何が目的なの?私を浚ってどうするつもりなの?」
「お前に話す道理はない」
「それは、そうだけど…」
ロイドは頭をかき忌々しく顔を歪める。
私は、そんなロイドを見つめる。
「これからどうするつもりだ」
「どうって。皆のところに戻るわよ」
「俺が、許すとでも思ってるのか」
「…振り切るわよ」
「バカか。人間の女に振り切られるほど落ちぶれちゃいねぇよ」
考えなしの自分に、ほとほと嫌気がさす。
皆きっと心配してるよね。
でも、自分でどうにかしなきゃ。


