握られたままの右手がぎゅっと握られ、見ているとレンがゆっくり瞳をあける。
その瞳が私を捉えると、ハッとしたように飛び起きた。
「紗南!」
最近、レンは私の名前をたくさん呼んでくれるようになった、なんて場違いな事を想う。
そんなことが、嬉しいと思ってしまうの。
「レン…」
「紗南…。紗南…」
確かめるように何度も私の名を呼ぶ。
レンは今にも泣きそうな顔で、初めて見るレンの姿に動揺した。
それほどまでに心配をかけてしまったのか。
レンは、私の頬に手を添え、何度も撫でる。
私はそれに、ドキドキが隠せなかった。
レンが、そんなことをするなんて思わなかった。
私が知ってるレンは……。
「紗南ちゃん!」
「紗南!」
「紗南さん!」
目を覚ましたみんなが一斉に駆け寄る。
レンは少しハッとしたように私から離れた。
「みんな…」
「よかった、本当に…よかった…」
ミナトは泣いていた。
子どものように泣きじゃくり、リュウに慰められる。
「心配…かけて、ごめんね…」
「なに言ってるんですか!謝るのは僕たちの方で…」
「ううん…ありがとう…」
皆、大好き。
きっと、私を助けるためにたくさん頑張ってくれたんだよね。
見ると、レンの服もソウシの服も、きっと私のであろう血が付いたままだ。
「みんなが…無事でよかった…」
「…っ!」
そう言うと、突然レンが私の身体を抱き寄せた。
腹部に激痛が走るけど、それよりも突然の事にドキドキする。


