地球で生まれ育って、私と同じようにここに来て、どうしたのだろう。
すんなりと自分に置かれた状況を受け入れることができたんだろうか。
この場所で生きる決意を、どうやってつけたんだろう。
私には、無理。
この場所でずっと生きていくなんて。
私は、帰りたいもの。
友だちも家族もいるあの場所へ。
「正式に姫として迎え入れるには、まだ日はある。ゆっくり考えるといい」
「私は、帰りたいです・・・」
「紗南の思いは尊重してやりたいが・・・。なら、帰る方法を見つける手助けはしよう。しかし、戻るまでは、こちらで姫として過ごしてくれんか?」
「・・・戻るまでなら・・・。でも、私、そんな姫なんてたいそうなもの・・・」
お姫様だったらって妄想を繰り広げたことは確かにあったけど、それは本当に空想の中の話で。
実際にそう言われると、困る。
「最初から、姫の自覚なんて誰にも持てんよ。この国に力を貸してくれんか?」
「・・・できる限りのことはします」
「ありがとう。恩に着る」
断りきれなかった。
王様の本気の瞳を見たら。
帰る方法探してくれるって言ってるし、帰るまでなら・・・。
仕方ないか・・・。


