しかし、私たちの人数に対して対処しきれないほどの数の悪魔が押しかけている。
皆の体力が持つのだろうか。
そんな不安をよそに、皆は次々と悪魔を倒していく。
「絶対に、渡すもんか!」
ミナトの決意。
みんなが私のために戦っている。
私を守ってくれている。
その事実が嬉しくも、悲しい。
私がいなければ、こんな悪魔に襲われることもないのかもしれないのだから。
「俺から離れるな」
レンが、私を背中に隠しながら言う。
あまりの数にレンも戦いに加勢しようと剣を抜いた。
目の前で繰り広げられる戦い。
私だけ置いてけぼり。
結局、守られてばかりの自分。
「レン…みんな…」
祈るしかできないの?
私が戦うことは、皆の本意じゃないってわかった。
逆に迷惑がかかるかもしれないって。
それでも、自分にできることはないのかいつも考える。
その時、死角からレンに襲い掛かる悪魔の姿をとらえた。
私は、とっさに飛び出しレンと悪魔の間に立ちはだかる。
「…っ紗南!?」
それに気づいたレンが振り向く。
でも……。
身体から、力が抜ける。
背中から付き抜かれた爪が、抜けると同時に私はその場に倒れた。
「…紗南っ!」
レンが私に駆け寄る。
私は霞ゆく視界にレンをとらえる。
とても傷ついた顔をしていた。
そんな顔しないで…。
私は、大丈夫だから。
そう言いたいのに声が出ない。


