「紗南さんは物ではありませんよ!利用するというあなたに引き渡すわけがないでしょう!」

「なにを言う。お前らとて、あいつを利用しているではないか。利用したいがため側においているんだろう?」

「違う!俺たちは紗南ちゃんを利用しようなんて思ってない!」





ミナトがそう言いながらロイドに向かっていく。
ロイドは簡単にそれをよけ、ミナトに一撃を加えた。
ミナトは地面に叩きつけられる。





「ミナト!」

「少しもないのか。あの女が救いの姫と呼ばれていなかったら側に置いたか?興味を持ったか?あ?」

「俺たちは!紗南ちゃんが好きだから側にいるんだ!」

「いいさ。でも、これから先、きっとお前たちは自分たちの野望のためにあの女を利用することになる。必ずな」

「そんなこと、なるもんか!」






ドォン!





その時、大きな爆発音が響いた。
地響きがしてバランスを崩す。




「…あの武器を使いこなすか。やはり、利用価値はありそうだな」





ロイドは意味深に笑い踵を返すと引き止める間もなく消えていった。
胸糞悪い感情だけが残る。

自分たちが紗南を利用することになる…?
そんなこと、あってたまるかと誰もが思った。





「レン…。僕たちは、間違ってませんよね…?」





ソウシが確かめるように問う。





「ああ」






確実に、ロイドの言葉に動揺してしまっていた。