「反対しているのに、ここでそれを使ってしまったら、それを認めてしまうことになる」
「リュウ…」
「それは、紗南の身の危険に繋がるってことだからな。俺は、絶対に使わせない」
とても頑固だ。
きっと、それは揺るがない決意。
リュウなりの、私を守ろうとする想いに、私はそれ以上なにも言えなかった。
私が強引に使ってここから出たとしても、リュウはきっと喜んではくれないだろう。
もしかしたら、自分を責めるかもしれない。
自分のせいで私が…と。
それは、私だって本望じゃない。
「でも、だったらどうやって…」
「これ…。使い方はわからないけど、武器なんだろ?これでどうにかならねぇかな」
「これ…」
リュウが受け取って持っていたさっきの小型の大砲。
それは、私たちと一緒にこっちに残っていた。
「でも、これ…弾がないと使えないはず…」
「紗南、知ってんのか?これの使い方」
「似た武器を知ってるの。この穴から弾が飛び出していく武器」
「弾…そんなもの、どこにもねぇな」
そうよ。
弾がなければ使えないはずなのに、弾なんてものは側になかった。
それっていったいどういうこと?
でも、私の世界とは違う世界。
もしかしたら、引き金を引くという原理は同じでも、何か違うのかも。
「あ…これって…」
私がその武器をまじまじと見ていると、見覚えのあるものを見つけた。
武器の持ち手部分引き金の側に私の持っているネックレスと同じような丸い球が埋め込まれている。
そこにはネックレスと同じマークがしるされている。
「紗南のネックレスと同じだな」
「うん。もしかしたら、これかもしれない…」
「紗南のネックレスと、原理は同じってことか??」
「私のネックレスは、私の念で発動するの。きっとこれも…」
一か八か。
でも、やるしかない。
どうせ弾なんてないんだ。
やってみてダメならどっちにしても助からない。
「よし」
ランプの灯が小さくなっていく。
迷っている時間はない。


