馬で移動してきていた私たち。
馬を休めるため、時々休憩を入れながら進む。
馬に乗っているのも、私が慣れていないせいで変に力が入っちゃって疲れる。
うーん、と大きく伸びをして体をほぐしていると、少し離れた場所に座り何やら神妙な顔つきのリュウを見つけた。
「リュウ…?」
いつも笑って、皆を元気づけてるリュウのあんな表情初めて見た。
いったいどうしたんだろう。
「…リュウ?」
私は思わず声をかけていた。
本当は、そっとしておいた方がよかったのかもしれない。
「ん?どうした、紗南。馬の移動は疲れるか?」
「え…あ、うん。少し…」
私が声をかけるとパッとスイッチを押したように明るくなるリュウ。
それが不自然で、不安になる。
何かを、隠してるんじゃないか…?
「慣れるまではしんどいだろうな。でも、歩くよりはだいぶ楽だから少ししんどいのは我慢しろな」
「うん。大丈夫だよ」
「そうか」
リュウは笑ってる。
でも、それは作り笑顔に見えた。


