レンは、難しい顔で考え込んでいた。






「…あんたはさ、紗南の事どう思ってんだ」

「どう…だと?」

「好き、なのか?」







浩太が重い口を開き尋ねる。
レンはそんな浩太を見た。







「なんだ、お前はあの女が好きなのか」

「っ、俺の話はどうだっていいだろ。あんたの事を聞いてるんだ」







逆に聞き返され動揺する浩太。






「…俺は、誰も好きになることはない」








動揺している浩太にレンは呟くように言う。
それは、まるで自分に言い聞かせるように……。






「大丈夫かな?あの子…」

「先生に言いに行った方がいいよね?」






食堂に入ってきた女子生徒が不安そうに話す声が聞こえた。







「すごいガラの悪い人たちだったよね…。あの子、誰だっけ…」

「ああ、紗南って子。私の友だちが知り合いだって前話してた」






“紗南”その名前にいち早く反応したレンはその女子生徒に詰め寄る。





「その話、詳しく話せ!」

「えっ…、あ、なんかさっき校門のところでガラの悪い男の人たちに連れて行かれるのを見て…」

「どこに向かった?」

「わからないけど、校門でて右に行ってたと思う…」

「…っ、ありがとう」





レンはそういうと食堂を飛び出した。
それに浩太と美由紀も追いかける。