「これは、もともとここにあったものなのだよ」
「え?」
「しかし、昨年、保管していた場所から忽然と消えたのだ」
「・・・私、盗んだりしてません!」
「わかっているよ。これは、言い伝え通りだったからね」
「言い伝え・・・?」
王様がポツリポツリと話し始めた。
とても、大事なものを包むようにネックレスを抱きしめながら。
「その不思議ななりも、それで納得がいった。そうか、そなたは”地球”から来たのだな」
「・・・え?」
「・・・王様!?地球とはいったい?」
「”地球”とは、このルネス王国があるこの星と太陽を挟んで反対側にある星の事。この星と同じく、人が住む星だ」
「人が住む星・・・?まさか、そんな・・・」
「そうだな、そのことは誰も知らぬ。この王国の機密事項だからな」
な、なんだか話が大ごとになってきてない?
どんな大きな設定なわけ?
ちょっと待ってよ、いつネタバレするわけ?
「あの、これ以上皆さんに付き合うのは・・・ちょっと。なんで、早く帰してください」
「女、黙れ!俺が話をしてるんだ!」
「だから、私がいなくなってからしてよ!」
いい加減、うんざり!
太陽を挟んで反対側?
そんな話、私だって聞いたことないし、というか、これはこの人たちの所謂ごっこ遊びなわけだし!
付き合ってらんない!
「信じられんのは無理はないな。紗南は、我々の行動や言葉が芝居のように思っておるのだろう?」
「そ、そうでしょ?だって、その格好だって変だし、地球とか、なんとか、ファンタジーじゃない!」
「そろそろ、よい時間だろう。紗南、もうすぐ日が暮れる。レン、紗南をテラスに連れて行ってやりなさい」
「なぜ、私が!?」
「王の命令だ、聞けぬのか?」
「・・・・・・わかりました」


