「そなた、名は?・・・と、申し遅れたな。我は、ウイリアム。このルネス王国の王だ」

「・・・紗南。相川紗南です」

「紗南か、よい名だな。紗南、そなたが持っているというネックレス、見せてくれんか?」





王様、にそう言われその優しい言い方に少しだけ小芝居に乗ってみる気になってしまった私は、ゆっくりと立ち上がって王様の目の前に立った。
首からネックレスを外して王様に手渡す。
王様は、最初レンがそうしたように真剣な瞳でまじまじとそれを見つめた。




いったいそのネックレスにどんな意味があるのか、どれほどの価値があるものなのか、私はわからない。
でも、きっと大切なものなんだろうことはわかった。






「・・・これは、どうしたのかね?」

「・・・不思議なお店を見つけて。そこでいただいたんです」

「貰った?」

「はい・・・。気に入ったのなら、あげる、と。趣味で開けているお店だからって」

「そうか・・・」





そう言うとまた黙り込んだ王様。
いったい、なんだというのだろう。



私は、この状況を早く説明してほしいのだけど。








「王様、それは・・・」

「ああ、間違いないだろう。本物だ」

「!!なぜそれをその女が!?」







レンが動揺したように叫んだ。
だから、このネックレスがどうしたというの?





私はただ、おばあさんにあげると言われたから貰っただけ。
普段ネックレスなんてつけない私が、なぜか惹かれるように手にしてしまった。






こんなことなら、いらないと断っておけばよかった。