「…どうしても、彼らと行ってしまう?」

「え?」

「ここに、残るという選択肢はないのかな?」







セリムの切ない声が響く。







「彼らが羨ましくて仕方がない。これは、何という気持ちなんだろうね。初めてだ、こんな気持ちは」

「セリム?」

「君が、彼らのために頑張れば頑張るほど、胸が締め付けられる」







セリムの手が伸びる。
その手は私の頬をとらえた。
ビクッと肩を震わせる。








「なにに対しても、誰に対しても、興味なんてわいたことなんてなかった。父への罪悪感から、王様への罪悪感から必死にここまで来たけど、世の中のことすらどうでもよかった」

「……」

「心を動かされる者なんてなかったし、動かされるものかとも思ってた」







それは、どれほど悲しいことなのか。
何事にも、楽しいと思えない、悲しいとも思えない。
感情が、消えていく。






「でも、なんだろう、この孤独感は。私だけ、おいてけぼりな感じだ」

「そんなことは…」

「彼らは君のために、君は彼らのためにと頑張るだろう?そこに私はいない」







自分の居場所は?