「なにしてる、早く来い」

「早く来いって…」



レンはなんともないだろうけど、そんな、心の準備全くしてなかった!
確かに、レンが一番隊の隊長だからレンの側にいるのが自然なのかもしれないけど。


って、そんなうだうだしているのが一番嫌いなレンだ。
覚悟を決めていかなきゃ。





「お願いします」






そう言って手を伸ばすとレンが力強く引っ張り私はあっという間にレンの前に横のりになる。
うわー!
なんか、馬に二人乗りって物語に出てくるお姫様と王子様みたいで憧れてたけど、いざしてみると緊張するだけではやく降りたい。







「じゃあ、気を付けて。何かあったらいつでも頼ってきてよ」

「ああ。助かる。じゃあな」






セリムや家来の人たちに見送られ私たちは再び旅を始める。
ここからは馬での移動だ。




歩きより断然楽だけど、ずっと馬に乗って移動しているのもしんどそうだ。
車とは違って揺れるし、バランスは悪い。

なるべく揺れないようにゆっくり進んでくれているみたいだけど。
そして何より、どこを持ったらいいのかわからない。




「俺にもたれてもいい」

「えっ」




そんな私に気づいたのかレンがそう言って私の腕をひく。
私の肩がレンの胸にもたれかかり、レンとの距離が縮まった。





(うわーうわー)





歩きの方がいい!
もたないよ~!