頭の中では、昨日セリムに言われたことがグルングルンと回っていて。
自分がどうしたいのか、どうするべきなのか、そればかりを考えてる。
本当は、わかってるはずなのに。
「これなんてどう?」
「…え?うん。って、それスカートじゃない!旅には向かないでしょ?」
「やっぱそっか―。残念。紗南ちゃんのスカート姿、みたいなぁ」
「スカート姿って…、ドレス姿は見たでしょう?」
「ドレスはドレス!ミニスカートを穿いてほしいの!」
ミナトが鼻を膨らませて言い切った。
「ミナト、へんたーい」
「な!違うよ!絶対かわいいと思うからだって!」
「物はいいようだよな」
リュウがからかうように言うとミナトは顔を赤くさせて反論する。
二人のこうやったやり取り、私は大好きだ。
大変な旅の中でも、楽しいと思える。
前向きになれる。
私は言い合っている二人をそっとしておいて、店の中をぐるっと回る。
「…あ」
その一角で、服ではなく髪留めを見つけた。
それも、染めた布地を使ったバレッタで、色遣いがとても女の子らしいものだった。
かわいらしすぎて私には似合わないかな…。
そう思って少し眺めただけでそっと戻した。


