次の日、私はみんなとエリシアの城下に観光に来ていた。
セリムがおすすめのお店をピックアップしてくれて、自分はいけなくて申し訳ないけどと見送ってくれた。
セリムは、昨日のことなんて全くなかったかのように私に接し、レンも同じくなにも言ってこなかった。
それが逆に怖くもあったのだけど。
「ここだ。セリムさまが教えてくれた洋服屋さん」
「染め方が特徴的で、とても綺麗な色の衣装が揃っているそうですよ」
ミナトが一目散に見つけ、店内に入っていく。
「うわー!本当だ!とってもきれい」
「紗南に似合いそうなの探そうぜ!」
「紗南ちゃんならどれでも似合うよ!」
私が店内を見渡し感嘆の声を上げると、リュウが隣に並び同じように店内を見渡した。
「ね、これなんてどう?」
「とっても素敵。でも、私、こんないいものじゃなくていいよ?高そうじゃない?」
「値段なんて気にしなくていいって!それに、ちゃんと必要経費だから大丈夫!」
「そう…?」
でも、私は本当はこの旅に必要ない人で。
私がいなければ、その経費だってもっと安く上がるはずなのに。
考え始めるとどんどん悪い方向に考えてしまう。
「どうしたの?紗南ちゃん?」
「あ、ううん。なんでもない。じゃあ、どれにしようかな」
ミナトが心配そうに覗き込むから、私はなんでもないように笑ってみせる。
心配をかけてはいけない。


