しばらくして、本当に使いの人がやってきて私たちは夕飯に誘われた。
それはなんと、王様と一緒で。
緊張したけど、やっぱり王様はいい人で明るい笑い声が絶えない夕食だった。




でも、ただ一人つれない顔をしていたのはレンで。







―あいつはやめておけ








その真意を知ることはないけれど、あいつっていうのはきっと王様の事で。
私は首をかしげることばかり。




なにをやめるというのだろう。








そんな食事の後は、お風呂に案内してもらった。
お風呂なんて、いつ以来だろう。
城を出て以来だから…うう、考えたくない。

仮にも女の子の私が毎日お風呂に入れないなんて。





わがまま言って連れて行ってもらっている身でお風呂に入りたい!なんてわがまま口が裂けても言えなかった。
だから、最高級にうれしい!



しかも、城なだけあって本当に本当に広いお風呂。
ライオンが口をあけその口の中から水が出てくる、そんなお風呂。

お風呂の数も多くて、どこから入るか迷う。
そのうえ貸切なんだからいうことなし。




騎士のみんなは仲良く皆で入っているんだろう。
確実にミナトは大はしゃぎだ。






「はぁ」





小さくため息を吐く。
近づいているようで近づいていない距離。

私の事を少しは受け入れてくれているんだって思ってたけど、やっぱり思い過ごしだったのかもしれない。