トントン
「はい?」
ノックの音がして返事をすると入ってきたのはソウシ。
ソウシは苦笑し、ベッドの側に歩み寄った。
「いつになく、荒れていますね」
「え?」
「レンの事です」
「荒れてる…?」
「いつもとは違った荒れ方をしていますけど」
いつもとは違った荒れ方…。
私は首をかしげる。
「紗南さんと出会ったからですね」
「え?私…?」
「守るべき存在ができて、でも、うまく守れない現実に直面してどうしたらいいのかわからなくなったんでしょう」
「守るべき存在…。でも、レンは王様の事も守ってたんでしょう?」
だったら、私と出会ったからというのは不自然だわ。
「王様を守るのと、紗南さんを守るのとは違いますよ」
「違う?」
「簡単に言えば、気持ちの問題でしょうか。王様は騎士の任務として。でも、紗南さんは、そうじゃない」
「…え?私だって、任務のうちでしょう?」
任務だから守ってくれてる。
それは、一番隊のみんなだってそうだ。
それは少しさみしいけど、仕方ないと割り切ってた。
そうしないと、もしかしたら側にいてくれるのも任務だからかもとダメな方向に思考が持って行かれてしまうから。


