リクは目に涙をためてそう訴えた。
お前のせいだと罵られても仕方ない。
騙したなと責められても仕方がない。


それなのに、そんなこともせず、自分を信じて頼ってくれる。








「…お前が騙していることを知っていてあの道を行ったのは俺たちだ。その結果がこれだ。これは、お前のせいじゃない」

「そうです。僕たちもあなたを利用しましたから。お互いさま、ということです。それよりも、一刻も早く紗南さんを医師に診せたいんです」

「それなら、いい医者を知っています。私を救ってくださった命の恩人です。私に力にならせてください!」







リクの母親がそう名乗り出て一行を案内していく。
一刻も早く。
気持ちばかりが先走る。





身体が、冷たくなっていっているような気がした。
レンの背中で、紗南の命が尽きかけようとしていた。










「…絶対に、死なせはしない」








レンの決意。







レンは、一層進める足を速めた。