「フゴウさま!」







部屋の扉をけたたましく開き、手下の悪魔が入ってくる。
フゴウと呼ばれたその悪魔は小さく舌打ちをし、私の身体から爪を抜いた。






「うっ」







「…なんだ、騒々しい。今、いいところだ」

「申し訳ございません。ですが…、この者の連れの者たちがここまでやってきております」

「なに?どういうことだ!ここに来るまでに仕留めろと言ったはずだ」

「それが、なにぶん強かったようで…」

「言い訳はよい!吾輩が全員息の根を止めてやるわ」






そう言うと手下を連れて部屋を出ていってしまった。
残された私。



…みんなが、ここに来た。
あいつはそう言った。





「はぁ…はぁ…。お願い…みんな、無事でいて…」







痛みで朦朧とする頭。
気を失ってたまるかと、意地だけで意識を保っている。
皆の無事を確かめるまで、絶対に気を失ってたまるか。




あの悪魔と、戦うことになるのなら、みんなにも危険があるということ。
みんなの強さはまだあまり見たことないけど、信じてる。
でも、あの悪魔に植え付けられた恐怖が、痛みが、悪い想像を掻き立てる。








どうか、無事でいて。
どうか、あいつに勝って。








どうか…。