「海」



あたしはあなたの名前を呼ぶ
この瞬間がたまらなく好きだ。



ここらへんの女子の中で
呼び捨てにしてるのはあたしだけじゃない?なんて得意げになって





「ハナ、おはよう」



こうやって下の名前で呼ばれるのも
あたしだけだと自惚れて



そんな気持ちを隠して平然と
あなたの隣に腰掛けるんだ。



上がる心拍数に気付かないフリして


緩む口角を長く伸ばした髪で隠して


あなたと同じ空気を吸うの。