それから数十分が経過。私達はデザートを平らげ、見ると目標も食事を済ませていた。
――ここからが私達の仕事――
私と烏丸クンがひっそりと目を細め見守る中、目標はついに立ち上がった。
本来ならこのままレジへ向かうはず。

ただそれは常人に限ってだ。

目標は当然のように入口の内ドアを開けた。

「いくよ烏丸クン!」
「はいっ!」

そう。あれは確かな犯罪。
詐欺の一種である≪無銭飲食≫!!
私は目標を追うため走り出した。

「烏丸クン、あとで返すからお金払っといて!」
「分かりましたぁっ!」

さすがに目標とは何㍍も離れてる為追い付かない。
――でも私の作戦は始まったばかり――
外ドア付近で待ち伏せていた少女が目標の腕にしがみついた。
一見デートの待ち合わせでもしてるかのような格好の少女は先程私に通知を送った張本人であり、2年生の後輩、雲雀(ひばり)奈央である。
しかし、彼女も行動力はあっても見た目通りか弱い。
今にでも腕を振りほどかされそう…!