日本ではその後、一連の事件は起きてお

らず、人々は徐々に気持ちにも余裕が見

えるようになって来ている。

そして、街の復興への時間もたくさんの

者達が協力をしているのだ。



それにより、少しずつではあるが、店舗

もまた再開する店が見え始めている。



政府の行った政策も実を結び、街では犯

罪が少しずつではあるものの減りつつも

あるのだ。




そして、

人口は減ったものの、残された人々は、

互いに協力をし、街には徐々にではあっ

たが、笑顔も増えて行っている。




しかし、以前と変わらず心無き者も、そ

のまま生き長らえ、花梨の望んでいた全

ての綺麗な心の存在する世界には、なら

なかった。



だが、今回の一連の事件により、人々は

数多くの事を学んでいたのだ。




なにより、いつ何があるか分からない事

を思い知り、大切な者との時間を大切に

するようになったのは、紛れもない事実

であった。





雪はその後、花梨の父親と姉が眠るお墓

に、花梨の骨を入れてもらっている。



その墓の前では、優しく微笑む雪の姿が

あるのだ。



「なぁ、花梨、また逢えるよな?

また命日には、戻ってこれるんだろ?

俺、それまで我慢するから。

だから、また笑顔で会いに来てくれよ。

ずっとずっと待ってるから。

花梨しか俺は、いらないからさ」






そして、雪は消防署に辞表を出していた

のである。



「少し話は聞いていたが、本当に辞める

のか、亀城くん?」



「はい。お世話になりました」



「やっと街も落ち着いて来たのに、

いま辞める必要はないと思うのだが……

考え直してみてはくれないか?」



「迷いはありません。短い間でしたが、

御世話になりました。

ここでたくさんの事を学ばさせていて頂

きました。

本当にありがとうございました」




今回の一連の事件を巻き起こしたのは、

紛れもなく花梨だった。



愛する者が犯したことにより、亡くした

ものも数多く存在する。



消防にいたのでは、活動地域が限られて

しまうため、全国の地域を回りボランテ

ィア活動をすることを雪は考えていた。

長年いた職場を辞めてまで、雪が出来る

ことを必死になり考えた結論である。





今回の一連の事件は

人の心の悲しさから引き起こされ、

それを無くすために生まれた悲しい事件

だった。


しかし、このような事件の発端となった

見えないものが完全に消え失せたわけで

もない。




しかし、二度とこのような悲しい事件が

起きないようにと、優しい表情で雪は天

を見つめていた。





今でも変わらず、大好きな花梨の笑顔を

思い浮かべて。









End……