2月14日12:30


家具類の無くなった花梨のマンション入

口には、一人の女性が玄関前に立ってい

た。


花梨の母親の雅代が花束を抱えて呟いて

いたのだ。


「あれから一年か。


私だって幸せになりたかったから。

お金持ちな人だったから。

今の旦那はね。

秀美さんは優しかったけど、でもお金が

私は欲しかったから。お金さえあれば、

幸せになれるでしょ?人の心なんかより

さ。そうでしょ?

それに……

親より先に逝くなんか親不孝だね……

あんたは……

一応、あんたを面倒見てくれた人には

挨拶しといたから。これで義理は果たし

たんだから。



そうそう、私が悪いわけじゃないからね。

勘違いして、恨まないでよ……」


そう言うと、軽く手を合わせ足早に自宅

に帰って行った。