2月14日11：42



（それぞれの願い）

（それぞれの想い）

（それぞれの思惑）


が集結する日がやってきた。



冷たい風が通るこの日の街は、バレンタ

インデー。




街では、数少なくなった恋人たちが

こんな時代でも愛を囁き、

純粋に自分の気持ちを、愛を伝え、

気持ちを確認しあっている微笑ましい光

景を、見てとれることが出来た。



「ずっと好きでした……遠くでみていて。

良ければ受け取ってもらえませんか？」



街には、告白するみさとの姿もあった。

そんな中でも不純な愛の形も存在してい

たのだ。


告白した相手は、亡くなったゆりが気に

入っていたというバイト先の人である。


「なぜ、俺の事を？」



「生前、ゆりとは話してたんです……

私いつかあなたに告白するって……ゆりと

は、約束をしていて。

ゆりも応援してくれていて……

だから、私頑張るからって……

だから……」



彼氏を亡くし、友達を亡くしても、

また口からでまかせを並べ、人の心を

もてあそぶ姿がそこにはあった。




街には様々な愛の形が存在する。

ただ純粋に愛したい者。

それとは真逆な考えを持っている者。




人の心の怖さ、愚かさ、醜さ、嘘。

自分さえよければという考えが、

悲しさを生み、怒りに変わり、

一連の悲劇を招いていたとは知らずに、

それを繰り返すことは続いている。







一方政府では、この日に空からの

全国に向けての一斉アナウンスを

行う準備が整っていたのだ。

関係職員はこの日を待ち望み、実行する

にあたり、最終調整に余念がなかった。





とうとうこの日が訪れてしまったのだ。


それは更に日本が大きく変わる日にもな

って行く。