マンションに帰ってきた雪の両手には、

たくさんの袋が握られている。



今では数少なくなった店を探し歩き、

帰ってきたころには、すっかり外の陽は

闇に包まれていた。




テーブルにそれらを置くと、雪は静かに

部屋に取り残された骨壺に話しかけてい

たのだ。



「ただいま、花梨……

きっと……花梨は明日いなくなるんだろ。

いなくならなくちゃ……いけないんだろ。

そうなんだろ……

なぁ、花梨。明日が来るのが、

怖いよ……俺……

また家族を失ったんだよな……

毎日顔を見て、何か特別な事をしなくて

も、一緒にいれたらそれでよかっただけ

なのに……

ただ……それだけで充分だったのに。

それすら叶わないんだよな……

もう……これからは……

でも……明日もまた逃げてたら、

本当に後悔しか残らないよね……

…………

今まで何も出来なかったから、

だから俺……明日は花梨に一番、

喜んでもらえるようにするから……」





一人呟くと雪は準備を始めだしていた。