一方、先程の室内では警察側の鑑識など

も入り、遺体を調べていた。



「特に外傷もなく争った形跡はなしか。

あなたは亡くなった方の恋人の方でしょ

うかね?」



「はい。俺が久し振りにここに来たら、

こんな姿になってて!

でも、俺は何もやってないからな!

本当だから……」



「まぁ、詳しくは署で聞きますので」



「署? 署って警察かよ?

なんで、俺が警察署に行かないと駄目

なんだよ! なにもこいつには、やってな

いって言ってるだろ?」



「疑ってるわけではないので、そう興奮

されずに。ただ、あなたが第一発見者と

いうこともあり、内容をお聞きしたいだ

けですから。まぁ薬物など出れば話は違

いますけどね」



最後にポツリとその警官は呟いていた。



「薬物なんかしてねぇよ! なんでこいつ

のせいで俺が疑われるんだよ! ふざけん

なよ!」



現場となった部屋では、そういった怒号

や、懐疑する質問が飛び交い、目の前に

いる亡くなった者への悲しみの想いは、

見えてはいなかったのだ。