信号待ちで立ち止まっていても、雪は

ふわりとした感覚に襲われ、眠さを抑え

る為に辺りを意味なく見渡していた。



体格の良い体つきに、185cmある雪の体

が、ふらふらとしている様は、周りには

滑稽に写っていたのかもしれない。

しかし、雪は目をしょぼつかせながら、

更に辺りを見渡す。




雪の視野には、楽しそうに家族で行楽に

行くであろう姿が目に止まる。



冷たい風が吹き抜ける中を、子供は陽気

に騒ぎ、お母さんであろう女性も優しい

表情をしている。

お父さんは子供と手を繋ぎ幸せそのもの

の家族に見えるのだ。

寒さの厳しい季節にも関わらず、温かな

家族の姿がそこにはある。





「家族かぁ……」



そう呟くと、雪は過去の記憶を少し思い

出していた。

しかし、その記憶にすぐ蓋をし、青色に

変わっていた横断歩道を、ゆっくり歩き

出し始める。