患者を病院に搬送した後の帰りの車内に

は、悲しみの表情を浮かべ考え込む雪の

姿があった。



(なにかがおかしいのか?

いや、おかしくないわけがない。

先日から同じような状況の現場ばかりが

続いている……

なにが起きてるんだよ……いったい……

こんなの俺が救急に配属されてから、今

まで1度もなかったよな……

先輩たちにも、こういう災害が過去にあ

ったなんて聞いた事がない……

それに、さっきのあの妹さん……だいすき

って叫んでたよな……大好きな者が目の前

で……

悲しすぎるよ……そんなの……)




そう考えていた雪の耳には、車内での救

急要請を知らせる無線が、またも流れ出

していたのだ。